スーパーで買った生サバをさばいて刺身で食べてみた【アニサキスこわい】

先日、たまたまスーパーで見つけた生のサバまるごと一本をさばいて、刺身にして食べてみました。
釣ったばかりの魚ならまだしも、スーパーで買ったサバを刺身で食べるのは問題ないのか試してみました。

魚好きの天敵、アニサキスの倒し方(食べ方)もあわせて紹介します。

サバの刺身に対する洗脳からの開放と反発

私には小さな夢がありました。それは、

スーパーで買った丸々一本のサバを刺身で食べたい!

というものです。夢などと大層なことを言いましたが、まさに夢なのです。

小さい頃から「サバは刺身で食べたらあたるから刺身だけは絶対にダメだ!」と事あるごとに言われ続けてきました。
その言葉はいつしか自分の中で当たり前のことと認識され、年を追うごとにサバを見ても刺身で食べるという選択肢がいっさい思い浮かばないほどになっていました。

 

しかし、成長してお酒を飲める年齢になると、実はサバは刺身で食べられるということを知らされます(居酒屋でゴマサバの刺身が食べられるところもありますよね)。

そのときの衝撃は、サンタクロースの真の存在に気付かされた時ぶりのものでした。そんな考えなんて長いこと排除され、いつしか忘れていたのですから。
しかも、そのサバの刺身がめちゃくちゃおいしかったのです。

 

それからというもの、これまで洗脳教育されてきたことに対する怒りと反発心から、サバの刺身を食べるために居酒屋に通う日が続きます。しかしサバの刺身は目玉商品のひとつ。行くと売り切れというパターンも少なくはありません。そうすると欲求不満になります。

 

そんな折に、スーパーで生サバ一本を見てしまいます。そこからの記憶は曖昧ですが、さきほど家の冷蔵庫を開けたらそのサバ(490円)がしっかりと入っていましたのでそういうことだと思います。

 

ということで、スーパーで買った生サバ一本をさばき、刺身にしていただきます。

「サバの生き腐れ」

この美しいフォルム

立派なサバを購入しました。見た目はまだまだ新鮮そう。念のため、購入前にスーパーにいた鮮魚コーナーのおばちゃんに聞いてみました。

KAI

「このサバ、刺身で食べられ……

おばちゃん

「いや、刺身はダメだねぇ!」

「刺身」というワードを発した時点で食い気味にダメだと言われました。この時点で少し心が折れかかりますが、夢なのでなんとか方法を探すことにします。

 

いろいろと調べていると、サバを刺身で食べていけない理由は、以下のふたつに集約されるようです。

・ヒスタミンによる食中毒
・アニサキス(寄生虫)

サバは常温下では身の腐るスピードがとても早いらしく、見た目は新鮮に見えても中身がかなり古くなっていることもあるようです。そのため「サバの生き腐れ」という言葉もあるほど。

もともとヒスチジンという青魚に多く含まれている成分が、古くなるとヒスタミンという成分に変わり、これを摂取すると食中毒にかかってしまうのだそうです。
ちなみにこのヒスタミンは煮ても焼いてもたいして消えないらしいので、古いサバは食べないことをおすすめします。

 

アニサキスについては言わずもがなでしょう。間違って摂取すると胃の中で暴れて胃壁に穴を開けてしまうこともある、本当に憎たらしい寄生虫です。私も一回こいつにやられたことがありますのでめっちゃ怖いです。

調べてみると案外いけるのでは?と思えてきました。スーパーの鮮魚コーナーに横たわっていた生サバなので、ヒスチジンがヒスタミンに変わるほど古くはないでしょうし、アニサキスは最悪目視で取り除き、もし残っていたとしてもよく噛んで噛みちぎりながら食べてしまえばいい話です。

 

と、ここまでは楽観ムードだったのですが……。

まずは三枚おろしで様子を見る

食中毒のリスクが理解できたところで、それでも実際に刺身で食べられる状態なのか、三枚におろして様子をみることにします。

 

ちなみにサバのさばきかたはこの動画がわかりやすくておすすめです。

頭を落とし、内臓を取り出すと……、はい早速いました。

(↑あまり気持ちの良い画像ではないので、覚悟のある人だけ画像をクリックしてみてください)

アニサキスちゃんです。
サバの内臓に高確率でいると聞いていましたが、正直こんなにいるものか、というくらいたくさんいました。グロテスクなのでその画像は自主規制します。

背筋に悪寒を感じつつ手に取りましたが、まだ元気にうにょうにょと動いています。
あとでお湯でもかけてやろうとまな板の隅に置いておき、本体の方を3枚におろします。
三枚おろし
おろした半身を見てみます。
さばいている最中にも感じましたが、やはり水揚げされて買うまでに時間がたっているため、身が締まっておらず身崩れがあります。

とはいえ腐っているわけでもなさそうですし、匂いも悪くないので生でいけると判断しました。

ざっと見たところ内臓から移動してそうなアニサキスもいません(アニサキスは基本内臓にいますが、魚が死んだあとは身に移動します)。

中骨を除き皮をはぎ、刺身にする

刺身でいけそうなので、ここから中骨を除き、皮を引いて刺身用に切っていきます。

中骨をまるごと取り除くために半身を分けてその断面を見ると、

おいしそう!!
特に皮の下の部分が脂がのっていておいしそうです。大量のアニサキスを見て少し食欲が落ち込んでいましたが、この断面を見て復活してきました。

 

中骨を除いたあとは皮を剥いでいきますが、サバの皮は手ではぐのが一番簡単なのではないかと思います。

こんなふうにかんたんにはげます。

 

皮を剥いだらいよいよ刺身用に切って盛り付けです。

完成!!

なんだか普通に食べられそうです。ひとりで一匹全部は食べられないだろうと思い、半身だけ刺身にして残りは冷凍保存にしました。

まだ夕食時には時間が早いので、この刺身もはやる気持ちをおさえて冷蔵後に保管します。

 

その間に取っておいたアニサキスをどう懲らしめてやろうか考えます。
ふと、このアニサキスはどのくらい固いのかが気になりました。切り身にしているときにはアニサキスは見つかりませんでしたが、もし身に潜んでいた場合、よく噛めば問題ないという噂は本当だろうかと。

 

そこで、アニサキスはどのくらいの咀嚼力で死ぬのか確かめるため、食べてみることにしました。

手でアニサキスをつまみ、歯を立ててみます。

……なかなか噛みきれません。ゴムとまではいいませんが、予想以上の硬さです。前歯で噛んで真っ二つにすると動きがなくなったのでそのまま食べてみましたが、特になんの味もしませんでした。笑

アニサキスは強い!

こんなにアニサキスが強いだなんて想定外です。これではよく噛んだとしても噛み切るのは難しいのではないでしょうか。

 

となると、さきほどの刺身は少し分厚く切りすぎに感じてきました。あの厚さではもしかしたら運悪く身の中に潜んでいるかもしれません……。

 

ということで、さきほどの刺身は熱を通して食べることにして冷凍庫に放り込み、もうひとつの冷凍していた半身をうすーく切ることにします。

カチコチです。これを……、

念には念を入れて一枚一枚、目視でアニーがいないか確認しながら薄く切っていきます。

え、アニー2匹もいるじゃん……。
アニーをすすんで食べたいとも思わないので、アニーが潜んでいるところは捨てました。

いざ実食!


ということで苦労してようやく薄切りが完成しました。アニーが怖すぎて注意深く目で確認しながら切ったのですごく時間がかかりました。笑

それでは食べてみます。

念には念を押して最初の1,2枚は目視確認。笑

味は……うまい!!!

青魚のうまみがしっかりあって、これぞサバの刺身です。やっぱりおいしいんだと再認識するとともに、これまでの苦労もあいまって感動してしまいました。

 

自分はあまり酒は飲まないようになりましたが、酒好きにはたまらないだろうと思います。いくらでもいけます。

冷凍でこれだけのクオリティなら冷凍前の生サバはどれほどのものかと思わされます。

サバの刺身はやっぱりおいしい

ようやく小さな夢がひとつ叶いました。自分でさばいて刺身を作ったのでおいしさもひとしおです。

 

少し手はかかりましたが、次に生サバを見つけてもおそらく無意識に買って刺身にしてしまうでしょう(アニーは食べません)。

今回は薄切りにして少し食べごたえに欠けたので、次は肉厚のサバの刺身を食べたいです。

リスクはあるのでおすすめはしませんが、どうしてもサバの刺身を食べたくなったときにはアニサキスとヒスタミンにお気をつけください。

ちなみにアニサキスは70度以上の熱を浴びるか、マイナス20度以下の環境に24時間置いておくと死にます。

追記:
刺身を食べてから1週間ほどたちますが、体調に異変はありません。

▼安全に美味しく生サバの刺身が食べたい方はこちらからどうぞ

8 COMMENTS

こもだ

サバが生で食べれない理由を知りたくて調べたら、たどり着きました。
文体が、すごくセンスがあっておもしろかったです。
また、アニサキスをわざわざ食べた、という部分は、腹がちぎれるかと思うほど笑いました。

楽しく参考になりました。
ありがとうございます。

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KAI

コメント気づくのが遅れてすみません。
とてもうれしい言葉をありがとうございます!
また遊びにきてください(^^)

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チョロチョロ

鯖の刺身は大好きです。
スーパーでは刺身にはしてくれないので、一匹買って来て刺身にして食べてます。
これまで何十匹と刺身にして食べましたが一度たりともあたったことなどありませんでした。
アニサキスは目に見える大きさの虫ですから取り除くのはそう難しくはないですよね。
あとは鮮度さえ良ければ問題無しですね。

わさび醤油で食べる鯖の刺身は最高だと思います。

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ikedasky

サバの刺身最高ですよね~
スーパーのサバをそれだけ食べられて一度もあたったことがないというのはすごいですね!
自分も鮮度がよいものはすかさず刺身にして食べています(^^)

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KAI

スーパーで購入したサバということもあり、血抜きはしていません。
血抜きしたほうがおいしく食べられそうですね!

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Ten-Ten

こんにちは。
サバは相模湾に釣りに行くと大型の物がよく釣れます。一頃は全て塩漬けにして身を削いで切り身餌にしていましたが、数年前に常連さんからアニサキスの特性をお聞きしてから、その場でエラや内臓を処理して血抜き後キッチンペーパーで包んでジップロックへ、氷タップリに水を入れたクーラーBOXで持ち帰っています。
10匹以上捌いていますが身にアニキサスがいたのは1度見たのみです。
一度釣り船に乗ってレンタルの道具を使って新鮮なサバを食してみるのもありですよ!

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KAI

コメントありがとうございます。
そうなんですね!やはり内臓をすぐに処理することは大事なんですね。
釣りはあまりしないのですが、いつか釣り船で釣った新鮮なサバ食べてみたいです。

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